オリオン座のおやじブログ

おやじ目線で「マネジメント」を中心に考えます・・・

ジョブ型雇用について考える(5)(日立の事例3)

リーダーの椅子を減らす

日立の事例を通じて「ジョブ型」雇用について考える第3回。今回の対談のタイトルは、『リーダーの椅子を減らす』となっています。

前回同様、対談のエッセンスを確認してみたいと思います。

人間力

日立の髙本氏が前回のトヨタの話題から、トヨタでは社員の評価の一部として人間力を評価しようとしていると指摘。それは、市場環境が大きく変化する中で、経営理念である「トヨタウェイ」を理解して実践しているかを評価しようとしている。

これに対して、一橋ビジネススクールの楠木教授が、人間力の評価とは、通常の労働市場の評価だけでない部分であり、労働市場の言語にはうまく翻訳できない基準であり組織力を上げるためには、社員を数字だけで評価するのではなく、上司が部下の一人ひとりの好みや得意技を評価することが重要と指摘しています。(御もっとも!)

髙木氏も、同じジョブディスクリプションの仕事をするAさんとBさんでも、2人が同じ成果(パフォーマンス)を発揮する保証は無いので、人間力こそが組織のパフォーマンスに大きな影響を与える、と明言しています。

楠木教授は、部下の人間力(その人の素晴らしい特性)を見極めるのは難しく、部下を持つ上司は、部下をどう評価するかによって、さらにその上の上司から評価されると、人間力評価の難しさと重要性を再度強調しています。

ポストの削減

ここで髙木氏が面白いことを言っています。

綺麗にジョブディスクリプションを整備しても「空いたポストに誰も手を挙げなかったらどうする?」という懸念がある。その場合は「業務命令」で動かすしかないのか…といった議論をしていると。(この内容は少々驚きなので、追って・・・)

次に(恐らく事前の対談シナリオ通りに)役職者の椅子(ポスト)の削減の必要性があるのではないか?と楠木教授が話題を振っています。

日立では、この10年で生え抜きの役員が減った。つまり、「この会社はずっと頑張っても、必ずしもトップに登り詰められるとは限らない時代になった」というメッセージが、社員にすでに伝わっているかも知れない。

ジョブ型雇用は、人財流動性が高まることを会社が覚悟したということ。

人財確保のため、魅力的なキャリアを積める役割や責任が職場の中にジョブとして存在していることを社内外にアピールし続けていく必要がある。

(これも事前のシナリオ通り?に)リーダーのポストを削減する必要性があることでお二人が合意し? だれでも得意不得意、向き不向きがあり、仕事は本人が選択できるようにすべきとまとめています。

 

この第3回の対談も、正直なところ突っ込みどころ満載ですが、何とか「ポストの削減」という会社の本音(目的)を話題に盛り込んだ。という感じだと思います。

今回の対談のどこがおかしいのか?皆さんも是非考えてみて下さい。私の理解と解釈については、全4回の対談を紹介した後に、整理してご披露させて頂きます。